2021年8月31日火曜日

無きに詩も非ず

 

やりきった

今まさにそう思えた

今まで何度も苦行を乗り越えてきたが

今度ばかりはやりきった

これ以上はもう無い

あとは醜く朽ち果てるのみだ

しかし、何なんだこの光は

何度手に掴んですり潰しても

またどこかで輝きだす

かと言って放置すれば別のものが煌めく

もういいのだ

もう沢山だ

いい加減にしてくれ

眩しくて敵わないんだ

しかし、分かったこともある

街ゆく人が輝いて見えるか

それとも薄暗く見えるか

それは手元に灯った光の加減

今夜は明かりをつけて眠ろうか

2021年8月30日月曜日

金魚鉢


男は泳ぐことが大好きでした

毎日、海やプールに出かけて泳いでいます

本当に泳ぐことが大好きでした

男はいつも泳ぐことばかり考えています

ある時、思いつきました

家の中を水で満たしたらどうだろうか

そうすればいつでも泳いでいられるじゃないか

部屋から部屋へと泳いで移動したらどんなに楽しいだろう

男はそれを実行しました

家の中はみるみるうちに水で満たされていきます

男は大喜びで泳ぎだしました

しかし、ひとしきり家の中を泳ぎ切った頃

みるみるうちに、水が抜けていったのです

誰だ勝手に水を抜いてる奴は

男は憤怒しました

それでも水は抜けていきます

とうとう水は全部ぬけてしまいました

これじゃ泳げないじゃないか、やりなおしだ

男は再び家に水を入れようとした瞬間

身体がまるで水中にいるかのようにふわりと浮き上がったのです

なんだまだ泳げるじゃないか

男はまた泳ぎだします

家の中が飽きたら今度は外に出てみます

ようし、あのお月様のところまで競走だ

男は空に向かって羽ばたいていきました

それが僕のおじいちゃんです






たぬきのワルツ


畳の上にたぬき

佇む姿に骨抜き

居た堪れなくて畳を叩く僕

タンタンタン

たぬきも釣られて

トントントン

タンタンタン

トントントン

刻まれるリズム

響き渡るビート

叩けば叩くほどに皮算用

陽射しが心地よい太陽

もう少し眠っていたいよ

狸寝入りだよ

いつもいるおじさん。

 ここは、綺麗な海沿いの街。

僕はこの町の高校に通う学生だ。

成績は平均的。運動神経も平均的。見た目も・・・平均的だと思ってる。

毎日学校に通っているから、いつも同じ時間に家をでているんだ。

最近気づいたことがある。

毎朝、同じ場所で会う人がいる。

犬の散歩をしている近所のおばさんだ。

おばさんの散歩ルートは分からないけれど、僕が、家を出るのを少し遅れると、おばさんも学校の方へ進んでる。

おばさんがいつもより、学校の方へ進んでいると今日は遅刻かもしれないと思ってあせることもある。

でも、大丈夫。おばさんに会えれば大体、間に合うのだ。

ある日、僕は寝坊をしてしまった。

慌てて家を飛び出すと、いつもいるはずのおばさんが、見当たらない。

今日は散歩へでていない可能性もあるけど、そうじゃない。

散歩を終えておうちに帰ってるに違いない。

同じ道なのに、いつもいる人がいないだけで不安になる。

僕は躍起になって自転車のペダルを回した。

必死になってペダルをこいでいると、いつもは気にしなかったものが、気になった。

海沿いの堤防にこしかけて、タバコをふかしているおじさんが目に飛び込んできたのだ。

人がこんなに必死になっているというのに、あのおじさんときたら、のんきなもんだ。

その一瞬しか目に入らなかったが、僕は妙にそのおじさんが気になった。

次の日、僕は寝坊をしなかった。

いつもの手順で、朝の支度をこなし、いつもの場所で犬の散歩のおばさんに会う。

実に好調なすべりだしだった。

軽快に自転車をこいでいると、僕は昨日のおじさんを思い出した。

僕は昨日の堤防の近くまで来ると、ふっとおじさんがいた方を覗いた。

おじさんはそこにいたのだ。

おじさんは昨日と同じ場所に、同じ格好で、同じ姿勢で、同じようにタバコをふかしていた。

おじさんは老けているように見えるが、おじいさんというほどでもない。

この近くに住んでいるのだろうか。

でも、2日間くらいなら同じ行動をしていてもおかしくはない。

僕はそう思って、学校へ向かった。

しかし、おじさんは次の日も、その次の日も、そこに座っているのだった。

そんな生活が一か月を過ぎた頃、僕はどうにも気になってしまい、犬の散歩をしているおばさんに、あのおじさんのことを聞いてみることにした。

おばさんは僕に質問を投げかけられると、きょとんしとした顔で言った。

あれはそういうロボットなのよ。

その言葉に僕もきょとんとした。

あんなに精巧に作られたロボットがあるだろうか。あるとして、なんのために作られて、なんのために起動しているのか。

僕は変な冗談だと思って、苦笑いをした。

そんな苦い顔した僕に、おばさんは続けて言った。

もうこの世界には生きている人間の方が少ないのよ。

だからね、少しでも寂しくないように、なんでもない住人のロボットがたくさん作られているの。

お母さんから聞かなかったのかしら。

おばさんはそうつぶやくと、僕の目をじっとみた。

すると、おばさんは無言で近づいて来て、僕の背後にまわってくる。


あなたもそろそろ燃料切れね。


おばさんの声が聞こえた。


そして、僕の視界は真っ白になった。


電信柱畑

 「それは何の苗ですか」

広大な敷地内にある畑にやってきた私はそこの主人が小脇に抱えている苗床を見て聞いた。

「ああ、これ」

「これは電信柱の苗だよ」

畑の主ははひょうひょうとしている。

今、植えて置けば、春には収穫できるらしい。

それにしても電信柱の苗とはどういうことだ。

まさか本当に電信柱が生えてくるわけではあるまい。

なにかそれに近い野菜のことをそう呼んでいるのだろう。

私はそう思った。

私は普段、都会でサラリーマンをしている。

ここの景色とは正反対のコンクリートジャングルの中で、ひたすらパソコンと向き合っている。

私はそんな生活に飽き飽きしていたのだ。

大自然に囲まれて体を動かしたい。

そこで私はインターネットで調べたところ、この農業体験にたどり着いたのだ。

田植えをしたり、畑を耕したり、収穫したり、とにかく普段は体験できないようなことができて、とても満足している。

人にはコンクリートから離れる時間も必要だと言うことを身をもって知ったのだ。

しかし、私は今、コンクリートの塊を育てようとしているのか。

主人に言われるがまま、植えてはいるがこれが成長したらばどうなるのか。

全く見当がつかないのである。

農業体験はこれらを植え付けたら、終わりだが私はどうしてもこれらの行く末を知りたくて、主人にもう一度、来させてほしいと嘆願した。

主人いわく、2,3か月したら収穫時だからその時また来ればいいと言ってもらえた。

私は、他の野菜には目もくれず。コンクリートの塊が成長するのをコンクリートジャングルで楽しみにしていたのだ。

そして、3か月が経った。

私は、この日を待ちわびていて、仕事を全て終わらせていた。

そしてあの畑へ真っすぐ向かったのである。

久しぶりに、畑のご主人に会って軽く挨拶をすると、例の畑へ案内された。

すると、そこには。

見紛うことなき電信柱が均一にたっているではないか。

木製ではなくコンクリートで出来た街中に立っているあの電信柱だ。

その異様な光景に私は息を飲んだ。

「見事なもんだろ」

ご主人は胸を張って言った。

「この国の電信柱はここから出荷されたものがほとんどなのさ」

ご主人の胸は張り裂けそうだ。

私は唖然としていた。

しかし、よく考えたら電信柱の作り方なんて知らなかったし、そういうものなのかもしれないと思いだしてきた。

私は感動しました。

私もここで電信柱の栽培をしたい。

私は仕事をやめる覚悟をしました。

すると、その気持ちを察したご主人は目の玉をまあるくして言った。

「畑から電信柱がとれるわけないだろ」

私はそれ以降、コンクリートジャングルから抜け出すことはなくなりました。

妄想ゲーム。

 今からしばらく先の未来。

人類はさらなる進化を遂げていた。

妄想に次ぐ妄想である。

皆さんは、夢をみることがあるだろうか。

最近は疲れていて、夢を全く見ない人もいるでしょう。

逆に夢を見ても、意識がはっきりとしていなくて、何の夢を見ていたかすら覚えてないときもあるでしょう。

そんな夢の世界。

誰もが一度は思うのではないのでしょうか。

夢の中ではっきりと意識を保ち自分の好きなように夢を見たいと。

そんな人々の妄想が、降り積もったのかもしれません。

我々の時代では、好きなように夢を見ることができるようになりました。

好きな夢が見れるとしたらあなたは何をしますか。

例えば、今好きな人と結ばれる夢を見る。

現実世界では到底叶わないような恋愛も夢の世界ならば思い通りです。

同じクラスのあの子。はたまた皆が憧れるようなアイドルだって思い通りになります。

お金持ちになって、現実では考えられないような買い物をしてみる。

夢の世界なんだから、お金なんていらないのに、人間の欲は計りしれませんね。財布の中身を考えずに買い物をする高揚感もあるでしょうか。

もっとファンタジーな夢を見る人もいます。

例えば、空を飛んでみたり、魔法を使ってみたり。

現実ではどんなに努力してもできないことも夢の中でなら可能です。

この時代では、みんな思い思いの夢を見ます。

夢ですので、どんなことがあっても他人には迷惑をかけません。

そのおかげか、犯罪率は依然と比べて格段に減りました。

しかしその反面、問題が起きています。

みんなどこか、やる気がないのです。

それはそうですよね。

あくせく働かなくても、夢の中ならごちそうが食べれます。

もちろん、現実世界でもお腹は空くのですが、腹が減ってどうしようもないときは夢を見てしのぐという人々が増えてしまったのです。

夢さえ見れば、現実はどうでも構わない。

このままではいけないと、政治家たちは躍起になります。

熟睡党という、夢を見ることに対して制限を行おうという政策を打ち出したりしています。

しかし、中々賛同はえられず、ついには党内の人間すら夢に逃げるという始末だった。

夢の中で夢を見ない政策を広めたわけですね。

かくいう、私も夢については肯定派である。

この世界は我々の先祖の切なる願いが込められた世界なのだから。

私は甘んじて、この能力を受け入れようと思っている。

たとえこの先にどんな未来が待っていようともね。

さて、今夜はどんな夢を見ようかな。

昨日はごちそう。一昨日は魔法使い。

今日の私は・・・

「お疲れ様でした」

無頓着な声がする。

やけに殺風景な夢だ。今日もごちそう食べようかな。

そう思った矢先のことだ。

「いかがでしたでしょうか、夢が叶う夢ツアーは」

ああ、そうか。

これも夢だった。

一点突破。

 例えば走ってみる。

それもかなり早い。

全力疾走である。

どうやら壁はないらしい。

真っすぐ進もうと思えばどこまでも進むことができる。

ずっと真っすぐ走っているのに進んでいる気が全くしない。

これはどうしたものか。

ある程度走ったところで、元の位置にもどされるのだろうか。

私は、今いる場所に目印をつけることにした。

足元には赤いバッテンをつけた。

私は再び走り出す。

それもかなりはやい。

全力疾走だ。

足元を見てみる。

目印はない。

どうやら前に進んでいることに間違いはないらしい。

しかし、いくら進んでも何も見えない。

新しい発見がないのならば、進んでいないのと等しいと言えるかもしれない。

もちろんこれは、右に進もうが左に進もうが同じこと。

全方向なのである。

真っすぐ前に進んだあと、後ろを振り返って進むのは果たして戻っているのか、進んでいるのか。

甚だ疑問ではあるが、それは今考えることではないのかもしれない。

どの方法に進んでも同じならば、あとに残るのは2つしかない。

上に行くか、下に行くかだ。

今いる位置から天井は見えない。

つまり上に行くには鳥のように羽を生やすか、もしくは身長を伸ばしてみるよりほかにない。

身長が伸びるまでにはまだまだ時間がかかりそうなので、私は下へ進むことを決めた。

自ら下に行くことが、現状の打開になることもあるかもしれない。

地面を掘り進めるのだ。

固い。

ただでさえ固いのに道具もなしに素手で掘り進めるのは至難の業だ。

まるで自らの手を大根おろしのようにすりおろしているかのようだ。

それからどれくらい時間が経ったであろうか。

やっとのことで、膝が埋まるくらいの穴が掘れた。

私の腕はもう使い物にならなくなっていた。

何よりもう今朝から走りっぱなしで体力の限界である。

いつまでこんな生活を続けなければならないのか。

私は考えることにした。

ここに来てから数日、腹は減らないが体力は減っていく。

眠くもならないが、集中力はなくなっていく。

はやくここから出たい。

はやる気持ちだけが、ただひたすらに積もっていくのだ。

成功法ではだめなのかもしれない。

何か特殊な脱出法があるに違いない。

私は自分の持つすべての脳を使いありとあらゆる手段を試した。

どこかに抜け穴があると思い、ひたすら飛び跳ねてみたり。

掘り返した土を団子にして思い切り天井に向かって投げつけてみたり。

一旦、あきらめてひたすら睡眠をとることに注力してみたり。

たまには一句読んでみちゃったり。

暗闇に 流れる汗の 静けさよ

だめだった。

何一つとして上手くいくことはない。

私の人生はこんなところで終わるのか。

そんなわけにはいかない。

しかし、己の力だけではもはやどうすることもできない。

誰か助けてくれ!!!

私は叫んだ。

叫ぼうと思ったわけではない。どうにもならないと思うと自然と口から飛び出したのだ。

はーい。今行きます。

どこからともなく声が聞こえたかと思うと、私の前に眩いばかりの一筋の光が差し込んできた。

どうやら私は忘れていたらしい。

人に頼るということを。


緑と黄いろ。

 僕は緑。

私は黄色。

色を付けるなんてずるいぞ。君は黄だ。

黄だけだと、木なのか気なのか分からないわ。

わかった。じゃあ僕も色をつけるね緑色。

それだと、やけに名前が長くなるじゃないの。

「みどり」と「きいろ」同じ三文字でちょうどいいじゃない。

なんか納得いかない。

たしかに長さは同じだけど、不公平な気がする。

不公平な黄ですって?

そんなことは言ってない。

まるでキツネにつままれたようだ。

キツネて器用な動物なのね。

実際にはつまむことなんて出来ないだろう。

やろうと思っても、肉球がふにふにするだけだ。

だからキツネは黄色なんだね。

それもどうだろうか。

たしかに黄色くも見えなくはないが、冷静によく見てみると茶色な気がする。

野生のキツネは間違いなく茶色い。いろいろと。

そもそも茶色てお茶の色なわけだけど。

日本的にいうとお茶の色は緑色だよね。

だからつまりキツネは緑色でもあるっていうことだ。

つまり、私たちは黄色でもあるし、緑色でもあるのね。

そう、最初から争う必要なんてなかったんだ。

僕たちは一心同体なんだ。

それはちょっとキモイかな。

あ、それはごめん。

まさかこの手の話で、キモイという発想がでてくるとは思わなかったよ。

私もびっくりしたけど、これが現実みたいなの。

なんか浮足だってると足がすくわれるのよ。そういうものなの。

浮いてる足をすくうなんて、神業だよね。

これには上げ足を取られましたわ。

足を揚げたら熱いから、エビフライにしておきなよ。

それもそうだね。

エビフライの尻尾は美味しいね。

私は、ちょっと苦手だわ。

そうなのかい。

でも、よく見てみなよ。この揚げたてのエビフライを。

さくさくなのは見て取れるけど、あとは分からないわ。

茶色なのさ。

あ。

つまり私たちと同じてことなのね。

そう僕たちはエビフライ。

タルタルソースをつけていただくのさ。

油の上に油をかけて食べる。これが最高に美味しい。

油の上に油をかけてもそれは油じゃないかしら。

それはまさに、火に油てやつだね。

アブラカタブラともいうね。

つまり、魔法のように美味しいんだよ。

私はエビフライについてはもう十分話したと思っているわ。

次は、カキフライについて話しましょう。

カキフライね。

あれは美味しい。さくっとあがった衣にとろとろのカキがとてもジューシーで、ファンシーなんだ。

わかるわ。それには同意せざるを得ないわ。

それにちょっと良く見てごらんよ。

なにかしら、ただのカキフライにしか見えないけど。

ほらよく目を凝らしてみるんだ。

あ。

茶色だ。

つまり私たちはカキフライでもあったのね。

そう、僕たちはカキフライ。

ところで君は誰だい。

私は黄色のきーちゃんよ。

僕は緑のたぬきだよ。

このお話に意味はあるのかい。

それを求めたらこれらはお話しにすらならないわ。

意味のない話に意味を求めたら、お話はお話でなくなるの。

考えてはだめよ。

全身で感じるの。

そしてあなたはこう思うの。

揚げ物たべたい。

滝のように流れる詩

 滝のようにながれる

机の上にしたたる

服の上にもしたたる。

熱いようで、どこかぬるい

透明のようで、どこか淀んでいる

世界が変わるならば

あの時に戻れるならば

そんなことはよくある話

現実は残酷に進んでいくのみ

もしもやりなおしが効くのならば

こんな未来は待っていなかったのかな

私がもってうまくやっていれば。

もしくは動かなければ

今のこの惨状にはなっていなかったかもしれないね

ごめんね。

申し訳ないよ。

ただひたすらに。

流れ落ちるメンマ。

白いシャツを染めるスープ。

優しく私を撫でる麺。

勢いでいれたニンニク。

そのどれもが私を作る思い出。

 立ち込める白い煙は宙を舞う。

つられて僕の心も踊りだす。

するとあの子も踊りだす。

煙と僕と君。

みんな白くてふわふわ。

天井にたまってひと塊。

あとは漂うだけ。

僕の心は夏の空。

君はどこか上の空。

静かにまって消えるだけ。

したらばね。

したらばね。

カニはたらばね。

死してしかばね。

あれあるかね。

やっぱあれだね。

実を言うとこれはね。

みんな知ってるあれだね。

それはなんだね。

もってるかね。

手元にはないね。

家にいけばあるね。

それであがりね。

言うなれば終わりね。

ここで終点ね。

つまりは昇天ね。

商店街でね。

歩いていたらね。

黒いタイルがね。

暖かくてね。

ついうっかりね。

裸足でね。

触れてみたくなったのね。

やっぱりね。

少しね。

熱かったのね。

暑かろうとね。

寒かろうとね。

僕たちはね。

生きていくんだね。

それでね。

君にはね。

見ていてほしいんだよね。

何もしてくれなくてもいいのね。

ただそこでじっとね。

見ていてほしいんだよね。

それだけでね。

ぼくはね。

前にね。

進むことができるんだよね。

いつかね。

君がね。

いなくなったとしてもね。

僕はね。

見てるんだよね。

きみのことをね。

死してしかばね。

したらばね。

かりそめこんそめ

 

かりそめにこんそめ

ふたをあけるとからあげ

からめるそーすをかけて

かけあみかけあみ

かんびなひびき

かつれつおむれつじゅんばんまちのれつ

かれこれありましたが

これもおもいで

あんまん

 

あんまむりしなさんな

あんまんむり あんまんむり

あんにんどうふできました

あんぐりとくちをあけて

あんこうみたいだね

あんまむりしなさんな


グラタンサングラス


 お腹がすいたな。

今日は何を食べようか。

そんな夕方のひと時。

私は迷ったらこれにする。

母親も迷ったらこれにしていた。

そんな今日の夕飯はそう。

グラタンサングラス

手軽に簡単で容易である。

忙しい主婦や、一人暮らしの味方。

最近では、コンビニでも取り扱っているという。

大衆の目をもろともせず、世間を味方につけるその偉業。

そうそれが。

グラタンサングラス

巷では高級レストランもメインディッシュとして出すこともあるらしい。

でもやはり私は馴染みのある手作りのものがいい。

材料はどこの家にでも必ずある。

買いだめする主婦が、そろそろ買い出しに行かなければならない。

そんなときにでも必ずある。

だからこそ救世主なのである。

たとえばこれを戦地にもっていったとする。

兵士達は食糧に困ることはなくなるだろう。

味に悩まずに済むことになるだろう。

極めつけは宇宙だ。

無重力でも最高だ。

宙返りしながら食べるこれはまさに天井知らず。

グラタンサングラス

そろそろ腹の虫がおさまらなくなってきた。

さっきまで穏やかにクラッシックを奏でていたのに、今と来たらヘビーメタルをかき鳴らしている。

普段、音楽をあまり嗜まない私でもこのリズムには乗らざるを得ない。

腹の虫の観客が沸いている。

まずはお湯を沸かそう。

若さゆえに、お湯はフライパンで沸かすのだ。

グラタンサングラス

フライパンで沸かしたお湯はヤカンで沸かすお湯よりもどこか不味い。

これも若さゆえのことだろう。

さて、お湯が沸いたところで準備していおいたマグカップに一注ぎ。

コーヒーを嗜むのだ。

気のせいかヘビーメタルもロックにかわった気がする。

人生はロックでありたい。

ロックでありたいと願いながら平坦な道を歩く。

それが人生というものなのかもしれない。

あるいは既にロックなのだが、当たり前すぎて平坦に見えているのかもしれない。

他人の人生を色眼鏡で見ているのだ。

色眼鏡・・・サングラス

!?

他人の日差しは眩しいか?

輝いて見えるのか?

グラタンサングラス

ではなんでそいつもサングラスをかけているのだ。

向こうが眩しいならそいつはサングラスをかけなくてもいいじゃないか。

でも、たしかにかけている。

サングラスをかけてこっちを見ている。

そのサングラスはどこで買ったんだ。

案外、似合っているじゃないか。

こんど貸してほしいな。

グラタンサングラス

この言葉に意味はない。

しかし、その言葉に意味を持たせようとする

それが意味なのかもしれない。

ちなみに今日の夕飯はカレーライス

もちろんレトルトだ。

逃げる

  息を呑む会場を目の前にしたならば、消え去ることも容易であろう。ピーマンの空洞にいる私をどうか種明かししないでもらいたい。