僕は緑。
私は黄色。
色を付けるなんてずるいぞ。君は黄だ。
黄だけだと、木なのか気なのか分からないわ。
わかった。じゃあ僕も色をつけるね緑色。
それだと、やけに名前が長くなるじゃないの。
「みどり」と「きいろ」同じ三文字でちょうどいいじゃない。
なんか納得いかない。
たしかに長さは同じだけど、不公平な気がする。
不公平な黄ですって?
そんなことは言ってない。
まるでキツネにつままれたようだ。
キツネて器用な動物なのね。
実際にはつまむことなんて出来ないだろう。
やろうと思っても、肉球がふにふにするだけだ。
だからキツネは黄色なんだね。
それもどうだろうか。
たしかに黄色くも見えなくはないが、冷静によく見てみると茶色な気がする。
野生のキツネは間違いなく茶色い。いろいろと。
そもそも茶色てお茶の色なわけだけど。
日本的にいうとお茶の色は緑色だよね。
だからつまりキツネは緑色でもあるっていうことだ。
つまり、私たちは黄色でもあるし、緑色でもあるのね。
そう、最初から争う必要なんてなかったんだ。
僕たちは一心同体なんだ。
それはちょっとキモイかな。
あ、それはごめん。
まさかこの手の話で、キモイという発想がでてくるとは思わなかったよ。
私もびっくりしたけど、これが現実みたいなの。
なんか浮足だってると足がすくわれるのよ。そういうものなの。
浮いてる足をすくうなんて、神業だよね。
これには上げ足を取られましたわ。
足を揚げたら熱いから、エビフライにしておきなよ。
それもそうだね。
エビフライの尻尾は美味しいね。
私は、ちょっと苦手だわ。
そうなのかい。
でも、よく見てみなよ。この揚げたてのエビフライを。
さくさくなのは見て取れるけど、あとは分からないわ。
茶色なのさ。
あ。
つまり私たちと同じてことなのね。
そう僕たちはエビフライ。
タルタルソースをつけていただくのさ。
油の上に油をかけて食べる。これが最高に美味しい。
油の上に油をかけてもそれは油じゃないかしら。
それはまさに、火に油てやつだね。
アブラカタブラともいうね。
つまり、魔法のように美味しいんだよ。
私はエビフライについてはもう十分話したと思っているわ。
次は、カキフライについて話しましょう。
カキフライね。
あれは美味しい。さくっとあがった衣にとろとろのカキがとてもジューシーで、ファンシーなんだ。
わかるわ。それには同意せざるを得ないわ。
それにちょっと良く見てごらんよ。
なにかしら、ただのカキフライにしか見えないけど。
ほらよく目を凝らしてみるんだ。
あ。
茶色だ。
つまり私たちはカキフライでもあったのね。
そう、僕たちはカキフライ。
ところで君は誰だい。
私は黄色のきーちゃんよ。
僕は緑のたぬきだよ。
このお話に意味はあるのかい。
それを求めたらこれらはお話しにすらならないわ。
意味のない話に意味を求めたら、お話はお話でなくなるの。
考えてはだめよ。
全身で感じるの。
そしてあなたはこう思うの。
揚げ物たべたい。
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