今からしばらく先の未来。
人類はさらなる進化を遂げていた。
妄想に次ぐ妄想である。
皆さんは、夢をみることがあるだろうか。
最近は疲れていて、夢を全く見ない人もいるでしょう。
逆に夢を見ても、意識がはっきりとしていなくて、何の夢を見ていたかすら覚えてないときもあるでしょう。
そんな夢の世界。
誰もが一度は思うのではないのでしょうか。
夢の中ではっきりと意識を保ち自分の好きなように夢を見たいと。
そんな人々の妄想が、降り積もったのかもしれません。
我々の時代では、好きなように夢を見ることができるようになりました。
好きな夢が見れるとしたらあなたは何をしますか。
例えば、今好きな人と結ばれる夢を見る。
現実世界では到底叶わないような恋愛も夢の世界ならば思い通りです。
同じクラスのあの子。はたまた皆が憧れるようなアイドルだって思い通りになります。
お金持ちになって、現実では考えられないような買い物をしてみる。
夢の世界なんだから、お金なんていらないのに、人間の欲は計りしれませんね。財布の中身を考えずに買い物をする高揚感もあるでしょうか。
もっとファンタジーな夢を見る人もいます。
例えば、空を飛んでみたり、魔法を使ってみたり。
現実ではどんなに努力してもできないことも夢の中でなら可能です。
この時代では、みんな思い思いの夢を見ます。
夢ですので、どんなことがあっても他人には迷惑をかけません。
そのおかげか、犯罪率は依然と比べて格段に減りました。
しかしその反面、問題が起きています。
みんなどこか、やる気がないのです。
それはそうですよね。
あくせく働かなくても、夢の中ならごちそうが食べれます。
もちろん、現実世界でもお腹は空くのですが、腹が減ってどうしようもないときは夢を見てしのぐという人々が増えてしまったのです。
夢さえ見れば、現実はどうでも構わない。
このままではいけないと、政治家たちは躍起になります。
熟睡党という、夢を見ることに対して制限を行おうという政策を打ち出したりしています。
しかし、中々賛同はえられず、ついには党内の人間すら夢に逃げるという始末だった。
夢の中で夢を見ない政策を広めたわけですね。
かくいう、私も夢については肯定派である。
この世界は我々の先祖の切なる願いが込められた世界なのだから。
私は甘んじて、この能力を受け入れようと思っている。
たとえこの先にどんな未来が待っていようともね。
さて、今夜はどんな夢を見ようかな。
昨日はごちそう。一昨日は魔法使い。
今日の私は・・・
「お疲れ様でした」
無頓着な声がする。
やけに殺風景な夢だ。今日もごちそう食べようかな。
そう思った矢先のことだ。
「いかがでしたでしょうか、夢が叶う夢ツアーは」
ああ、そうか。
これも夢だった。
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